大人の発達障害
子供のころは、症状が存在しても周囲の環境や人間関係に恵まれたおかげで生活に大きな支障をきたさず、大人になって初めて発達障害に気づくことがあります。つまりこの病気は、大人になってから急に発症したのではなく、昔からの発達障害の症状がほとんど残ったままであったのです。
また子供のように学校などから支援を受けられず周りからの理解や支援を得にくく、うつ病などの二次障害を発症することがあるため、治療の第一歩として会社などに理解や支援を求めるところから始めます。
その上でADHDには薬物療法、ASDには生活の困難に対する具体的な解決策をお伝えし、二次障害にもそれぞれ対応いたします。
うつ病
昔は、特に誘因がなくうつ状態となる内因性うつ病と何かの心理的負荷に反応してうつ状態となる抑うつ反応との二つに大きく区別されていました。今は新型うつ病、非定型うつ病など色々病名がありますが、根本的には上記のいずれかに当てはまります。
うつ病の人たちは、病前性格といって受け止め方や感じ方などが悲観的であったり、被害的だったりします。
特に抑うつ反応型の人はこの傾向が強く、薬物療法だけでは回復しないことがしばしばあります。
この病前性格を変えるのに認知(行動)療法が有効とされ、当院の医師や心理士が豊かな経験を生かして対応しております。
適応障害
職場の人間関係や仕事のプレッシャーなどが心因となって起こる病気です。特定の状況(職場など)ではうつ病のような状態になりますが、それ以外では元気にふるまえます。例えば、新型うつ病は適応障害の部類に入ります。
この診断は以前半年を超えて続けられない、とりあえず付けられる病名でしたが、最近は一精神疾患として位置づけられ、慢性化も認められるようになりました。
治療としては、休職措置や配置転換などの環境調整を支援し心理療法や必要最低限の薬物療法を併用いたします。
パニック障害
動悸、息苦しさ、めまいなどの自律神経失調が突然起こり、このまま続くと死んでしまうのではないかと強い不安・恐怖に襲われる病気です。恐怖のあまり救急車を呼ぶケースが少なくありません。
この病気は(嫌悪)条件反射が形成されるために起こります。条件反射といえば、パドロフの犬の実験が有名です。犬に餌を与える際にベルを鳴らすのを繰り返すと、やがてベルを鳴らすだけでよだれが出るようになります。この条件反射を消去するにはベルを鳴らしても餌を与えないようにすれば良いのです。
これを応用した治療が暴露療法と呼ばれます。
当院では、かつて電車に乗るのを苦手とする人たちを対象に津島駅から名古屋駅まで行けるよう実践的な行動療法を実施し、皆さん名駅まで行けるようになりました。
双極性障害(躁うつ病)
昔は躁うつ病と呼ばれていた脳の病気です。双極性障害の「双極」とは二つの極という意味で気分が高揚する躁状態と気分が低下するうつ状態を繰り返します。このうつ状態とうつ病を区別するには長期的な経過観察が必要となります。
治療については、双極性障害とうつ病では治療方針は異なり、うつ病は症状をなくすことが目標ですが、双極性障害は躁とうつの波の幅を小さくすることを目標にします。
従って使用する薬剤は異なり、うつ病には抗うつ薬が中心となり、双極性障害は気分安定剤などが処方されます。
統合失調症
統合失調症とは、考えや気持ちがまとまりにくくなり。そのために困難や苦痛を感じるようになった状態を指します。
症状は大きく二つに分かれます。本来なかったものがあるようになる陽性症状、例えば幻聴や妄想などが該当します。
逆に本来あったものがなくなる陰性症状、例として興味・関心がなくなる、感情が平板化するなどです。
治療の基本は、抗精神病薬により病状を抑え、次に社会心理的リハビリテーションを行います。そして日常生活がある程度可能になれば、就労支援に進みます。